私が新規事業を始める際は、3つのシンプルな判断基準に照らして考えるようにしている。その3つが、初めて開業しようとする人々の8割に有効だと思っている。
まず第一に、コンセプトは100年以上前からあるようなものが好ましい。まあ、100年は経っていなくてもいいかもしれないが。重要なのは、有効性が立証された定評あるコンセプト、誰でも理解するコンセプトであることだ。新しいもの、革命的なものではない。なぜか。理由は、市場を一から開発する作業ほど高くつくものはないからだ。(著者の実体験を略)
もちろん、競争をしていくのであれば、顧客に対して他社との差別化ができていなければならない。そこで第二の判断基準だ。時代とずれた業界が好ましい。必ずしも「古めかしい」という意味ではない。私が言うのは、大半の業者の形態が顧客と合致しなくなっているビジネスのことだ。顧客ニーズが変化したのかもしれないし、業者のほうが注意を払っていないのかもしれない。最新のテクノロジーを導入していないのかもしれない。いずれにせよ何らかの変化があり、業界がそれを追いかけていないという状況を見つけ、そこに入り込むのだ。
私が経営する文書保管サービス会社、シティストレージがその典型的な例である。最初にこの事業を検討した際、2,3の大手を除いて、文書保管サービス会社はほとんど開店休業であることに気づいた。古い倉庫に使われることのない文書を保管しているだけなのだ。だが一方で業界は完全に変化していた。主要都市の土地の価格があがり、企業は使っているファイルであっても、できるだけ敷地外に保管したいと考えるようになった。つまり、ファイルは引き続き必要に応じて取り出せなくてはならない。文書保管という事業はいったん収納して終わりではなく、保存・整理と取り出しを目的とするビジネスへと変わっていたのだが、それに気づいた者はほとんどいないようだった。例外は、のちに合併したアイアン・マウンテンとピエース・リーという業界大手2社だ。この2社は変化を認識し、郊外に巨大かつ近代的な保存・検索用の施設を建築した。その過程で業界を先導する勢力となっていった。
私はここに機会があると感じた。だが、わからないこともあった。どうしてほかの企業は休眠状態なのか。なぜそれでも営業していられるのか。どうして顧客基盤を失っていないのか。答えは、一部の得意客が預けたファイルを動かそうとしないからだ、ということがわかった。近代的な倉庫を持つ他社が登場したからといって、書類を街の外の遠い場所に動かしたくはない。1時間以内に特定のファイルが必要になったらどうするというのだ?
ここから、新規事業成功のための第三の判断基準が浮かんだ。ニッチ(隙間)であることだ。私は巨大で近代的な施設を、あえて市内に作ろうと考えた。最新技術を駆使し、設備を保存・整理と取り出しに特化した設計にして、古い文書保管サービス企業との差別化を図ろう。大手企業とは立地で差別化し、顧客から保管場所への近さをアピールしよう。
実際のところ、ニッチを押さえるというのはあらゆる新規事業にとって必須事項なのだが、その理由は一般に考えられているようなものとは違う。新規事業が存続性を勝ち取るまで初期資本が持続するよう、高い利益率を保つ必要があることはすでに述べたが、その点と関係がある。新参者は価格競争ができない。値段で競えば倒産してしまうからだ。その一方で顧客を獲得しなければならない。つまり、相場の値段で、より多くの価値を提供しなければならない。
だが、直接原価を増やさず、粗利益を削らず、初期資本を使い果たすことなしに、どうやって多くの価値を提供すればいいのか。その答えはたいていの場合、自分が選んだニッチな領域に転がっている。たとえば私は、最新の保存・整理技術を活用し、競合他社よりもはるかに天井の高い倉庫を建てれば、直接原価を削減できると気づいた。他社が1万平方フィートに4万箱から5万箱を保管するところ、うちでは同じ広さで15万箱以上を置けるようにしたのだ。
100年前からのコンセプトで、時代とずれた業界で、ニッチな領域を押さえる。この3つが、私が考える事業立ち上げ成功の基準だ。(中略)革新的なビジョンを持った天才たちをくじくつもりはない。技術進歩や、新しい産業の創出には大賛成だ。あなたがエジソンであり、フレッド・スミス(FedEx創業者)であり、ビル・ゲイツであるというのなら、私が挙げた基準は忘れてもらってかまわない。ぜひ我が道を進み、世界を変えていただきたい。
だが、大半の人々はもっと控えめな目標を持って事業を始めるはずだ。生き延び、成長する会社にできれば本望だろう。あなたもそうしたタイプなら、私のアドバイスを受け入れることだ。革命的に新しいコンセプトでビジネスを生み出そうと試みるものではない。優れた古いコンセプトを見つけることだ。
まず第一に、コンセプトは100年以上前からあるようなものが好ましい。まあ、100年は経っていなくてもいいかもしれないが。重要なのは、有効性が立証された定評あるコンセプト、誰でも理解するコンセプトであることだ。新しいもの、革命的なものではない。なぜか。理由は、市場を一から開発する作業ほど高くつくものはないからだ。(著者の実体験を略)
もちろん、競争をしていくのであれば、顧客に対して他社との差別化ができていなければならない。そこで第二の判断基準だ。時代とずれた業界が好ましい。必ずしも「古めかしい」という意味ではない。私が言うのは、大半の業者の形態が顧客と合致しなくなっているビジネスのことだ。顧客ニーズが変化したのかもしれないし、業者のほうが注意を払っていないのかもしれない。最新のテクノロジーを導入していないのかもしれない。いずれにせよ何らかの変化があり、業界がそれを追いかけていないという状況を見つけ、そこに入り込むのだ。
私が経営する文書保管サービス会社、シティストレージがその典型的な例である。最初にこの事業を検討した際、2,3の大手を除いて、文書保管サービス会社はほとんど開店休業であることに気づいた。古い倉庫に使われることのない文書を保管しているだけなのだ。だが一方で業界は完全に変化していた。主要都市の土地の価格があがり、企業は使っているファイルであっても、できるだけ敷地外に保管したいと考えるようになった。つまり、ファイルは引き続き必要に応じて取り出せなくてはならない。文書保管という事業はいったん収納して終わりではなく、保存・整理と取り出しを目的とするビジネスへと変わっていたのだが、それに気づいた者はほとんどいないようだった。例外は、のちに合併したアイアン・マウンテンとピエース・リーという業界大手2社だ。この2社は変化を認識し、郊外に巨大かつ近代的な保存・検索用の施設を建築した。その過程で業界を先導する勢力となっていった。
私はここに機会があると感じた。だが、わからないこともあった。どうしてほかの企業は休眠状態なのか。なぜそれでも営業していられるのか。どうして顧客基盤を失っていないのか。答えは、一部の得意客が預けたファイルを動かそうとしないからだ、ということがわかった。近代的な倉庫を持つ他社が登場したからといって、書類を街の外の遠い場所に動かしたくはない。1時間以内に特定のファイルが必要になったらどうするというのだ?
ここから、新規事業成功のための第三の判断基準が浮かんだ。ニッチ(隙間)であることだ。私は巨大で近代的な施設を、あえて市内に作ろうと考えた。最新技術を駆使し、設備を保存・整理と取り出しに特化した設計にして、古い文書保管サービス企業との差別化を図ろう。大手企業とは立地で差別化し、顧客から保管場所への近さをアピールしよう。
実際のところ、ニッチを押さえるというのはあらゆる新規事業にとって必須事項なのだが、その理由は一般に考えられているようなものとは違う。新規事業が存続性を勝ち取るまで初期資本が持続するよう、高い利益率を保つ必要があることはすでに述べたが、その点と関係がある。新参者は価格競争ができない。値段で競えば倒産してしまうからだ。その一方で顧客を獲得しなければならない。つまり、相場の値段で、より多くの価値を提供しなければならない。
だが、直接原価を増やさず、粗利益を削らず、初期資本を使い果たすことなしに、どうやって多くの価値を提供すればいいのか。その答えはたいていの場合、自分が選んだニッチな領域に転がっている。たとえば私は、最新の保存・整理技術を活用し、競合他社よりもはるかに天井の高い倉庫を建てれば、直接原価を削減できると気づいた。他社が1万平方フィートに4万箱から5万箱を保管するところ、うちでは同じ広さで15万箱以上を置けるようにしたのだ。
100年前からのコンセプトで、時代とずれた業界で、ニッチな領域を押さえる。この3つが、私が考える事業立ち上げ成功の基準だ。(中略)革新的なビジョンを持った天才たちをくじくつもりはない。技術進歩や、新しい産業の創出には大賛成だ。あなたがエジソンであり、フレッド・スミス(FedEx創業者)であり、ビル・ゲイツであるというのなら、私が挙げた基準は忘れてもらってかまわない。ぜひ我が道を進み、世界を変えていただきたい。
だが、大半の人々はもっと控えめな目標を持って事業を始めるはずだ。生き延び、成長する会社にできれば本望だろう。あなたもそうしたタイプなら、私のアドバイスを受け入れることだ。革命的に新しいコンセプトでビジネスを生み出そうと試みるものではない。優れた古いコンセプトを見つけることだ。
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| — | ノーム・ブロドスキー(著)『経営の才覚 ― 創業期に必ず直面する試練と解決』 |
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